修多羅結び-shutara musubi-

 修多羅結びは仏教の伝来と共に伝えられました。僧侶の袈裟の装飾として用いられる格式高い結びで、花結びの基盤になった結びといわれています。
現在、お坊さんが七条という袈裟をつけるときに大きな立派な紐を結びますが、これを修多羅(スートラ)といいたて糸を意味します。たて糸はまっすぐピンと張った状態で、お釈迦様の教えが末永く貫かれる基本線を表しています。修多羅結びは有難く尊い経文が遠くに散らないように結び留めておくために結ばれています。
この結びのほとんどは「あわび結び」の応用です。太い紐で作る場合は約7メートルの紐を4本使いますが、僧服の袈裟にかけるものですので、形が崩れないようしっかり結ぶ必要があります。シンプルな結びの連続が徐々に複雑な形を作り、最後に4本それぞれの紐を稲穂結びにして房をつけ、終わってみれば様々な結びが一つの美しい線となって完成します。その瞬間は何とも言えない充実感があります。
 私はこの結びが好きで、太い紐から、1mmの細い紐までいくつも結びました。(写真は1mmの紐)その中で、本来の意味を心に祈り、ひたすら結び、結ぶことに心を鎮める力があることを感じさせられたのは、母の最期に際して結んだ修多羅結びでした。棺の上にその結びを飾ると母を守ってくれるような気持ちにもなりました。
 自分の力が及ばない現実に、祈りとともに自分の気持ちを結びに託し形にすることで、その苦しみから少しの間でも解放されたという事実は、私にとって大変貴重な経験となりました。


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