結 YUU -musubi-

総角結び-agemaki musubi-

 総角結びは、古代男子の髪型である角髪(みずら)から考案された結びで、高松塚古墳の壁画にも見られる大変古い結びです。平安時代の冠の飾りである心葉日蔭鬘(こころばひかげかずら)にも総角結びが見られます。前後二筋づつの紐を花の形に結び冠の左右に掛けて垂らした優雅な飾りで、神祭の清浄を表しています。
 昔の人々は自然を象って紐を結び、その強い生命力を封じ込めて身につけることで生命の衰えを防ぎ、再生を願ったといいます。特に花は生命の象徴として好まれ、花形の文様は衣服や調度につけられました。このような自然観が紐を花の形に結ぶ「花結び」を生んだと考えられています。
 装飾結びの代表といわれる総角結びですが、護符や魔除けとして、結び文化の精神性においても代表的な結びの一つといえます。端午の節供に飾られる鎧の背につけられた総角結びは、無防備な背後を守り、生命の緒をつなぎとめる護符としてつけられています。 この総角結びは中央の結び目の形から「入型」と「人形」に分けられます。日本では武具には「人型」を使い、部屋や調度品の装飾には入型が使われています。
 ひと結びしただけの二つの輪を互いにくぐらせ、美しく結ばれた総角結び。
 そのシンプルな結び目には、太古から受け継がれてきた結びの文化に潜む日本人の心を感じさせる力があります。
 結びの文化に興味を持ち、その形と心を少しでも受け継いでいければと願い、美しく神秘的な総角結びを“結YUU”の印にいたしました。


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