結 YUU -musubi-

けまん結び-keman musubi-

仏具の「華鬘(けまん)」をさげる紐の結び方で、「同心(どうしん)結び」ともいわれます。
華鬘とは仏堂内陣の欄間などにかける飾りで、うちわ形で、青銅に花鳥、天女などの透彫を施したもの、
牛皮を切り抜いて彩色したものなどがあり、釣り環で吊るします。
元来、インドでは生花を紐で通して髪や体を飾る風俗があったそうですが、この花々を仏前に供えるようになり、さらに中国、日本では転じて仏具となりました。
「同心結び」は男女相愛の契りを示す結びになっており、中国明代の短編集に、女性から髪の毛を同心結びにして贈られた話が出ているそうです。
また、3つの輪を作り左右の輪をたがいに引き抜いて作るこの羽を広げたような結びは「いれひも」(直垂・狩衣などのボタン代りに使われるもの)ともいいます。
橋田正園先生の本には「仏教とともに伝わり、仏の力によって衆生を幸福に導く結び」と説明されています。
このように仏教とともに伝えられた装飾結びには、大切な意味が込められています。
その美しさと願いはこれからも伝えていかなければなりません。
サントリー美術館での「KAZARI日本美の情熱」という展覧会では、透かし彫りの大変美しい華鬘が展示されていました。
そのうちの2点には中央に結びが彫られていました。
華鬘という仏具の中に結びがモチーフとして使われているのは、やはりそこには産霊(むすび)の力への期待があるのでしょうか。




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